ヤミヤミ≒ヨマイヨマイ

このブログはわたしじゅんはじめが外界からの数多の刺激の中で妄想した事柄とか内なる衝動が生み出した邪なる創造の萌芽とかそういうなんだかよくわからないものを徒然なるままに日々雑記として書きつらねていこうと画策した上に設置されたものである・・・・・・・のかもしれないぞっと(^^ゞ

ドロステのはてで僕ら

9月 4th, 2021 by PureJyam

去年見に行きたかったやつが、ブルーレイ化されたので買ってしまう。「サマータイムマシンブルース」の脚本を書いた上田誠が脚本を書いた時間SFということで、ものすごく見たかったんだよね。

「ドロステのはてで僕ら」 2020
監督は、脚本の上田氏が所属するヨーロッパ企画という劇団の山口という人だが、他にメジャーな作品を撮っているわけではないようだ。
カフェに置いてあるテレビとカフェのマスターの部屋のモニターがなぜか2分間のタイムラグを持って接続されてしまう。それをめぐってカフェの常連客や店員がくりろげるドタバタコメディといった感じ。
ドロステというのは、合わせ鏡のように自身が再帰的に繰り返される画像効果を言うが、つまり2分間という時間を引き延ばすために、モニター同士を向かい合わせに置いてさらに未来からの情報を得ようとした彼らの行為のことを指している。「サマータイムマシンブルース」に匹敵するぐらいの巧みな脚本である。ドラえもんのエピソードにも出てきそうだ。
2分後や2分前の自分たちと映像を介して会話するわけだが、CGとか編集で誤魔化すことなくリアルで撮影されていることがわかるので、撮るの大変だったろうなと。しかも長回しを多用しており、そこまで自分の首を絞めなくてもとまで思わせる。モニターに映像を表示させるためには、あらかじめその素材として2分前あるいは2分後の映像を撮影しておく必要がある。さらにその映像と会話するので、双方が完璧なタイミングで演技しなければならないわけだ。カット割りで誤魔化せばそこそこ簡単なのだが、それをあえて長回しを使って2分前から2分後への移動をずっと見せ続けるとかいう無茶なことをやっているので、もう考えただけで大変そう(^^;)
特典のメイキングを見ると、ほんとにきつそうで、スタッフには同情を禁じ得ない。
いや、しかし素晴らしく面白い。

「サマータイムマシンブルース」2005
「ドロステ・・」があまりにも面白かったので、もう一度見たくなって見てみた。ブルーレイは買ってなくて、ケーブルテレビで随分前に録画したやつである。
ブログに書いたような気がしてたのだが、いくら探しても見つからなかったので、ここで書いておく。
監督は本広克之で、去年の暮れに見た「ビューティフルドリーマー」と同じ。「ドロステ・・」はビデオ撮りということもあって雰囲気がテレビドラマっぽいが、こちらは多分フィルムでかつカット割りも多くより映画っぽい。まぁどういうのがテレビでどういうのが映画なのかっていうそもそもの議論はありそうだが、あくまで個人的な感覚としてね。まぁ最近はYoutubeもあるし、ビデオから入ってくる作り手も増えたんじゃないかと思うが、やはりフィルムの映画から入ってきた作り手とは微妙に作品のテイストが違うような気がする。
とある地方の大学のSF研に突如2030年からタイムマシンが飛来することで起こるドタバタコメディ。エアコンの壊れたリモコンを昨日へ戻って取ってこようとするとかいうしょうもなさが面白い。が、リモコンを中心に考えるとやたらと波乱万丈な運命を辿っていて全体の構成の巧みさに舌を巻く。画面のあちこちに伏線がちりばめられていて、何度も見たくなる映画だ。
主演は、のちに「のだめカンタービレ」のドラマで共演する瑛太と上野樹里だが、上野樹里はのだめと違い、あまり印象に残らない感じの役柄で実際のだめをこの後に見ているのだけど、同じ女優だと気づかなかった。
また、今回改めて見てみると、共演に「ドロステ・・」にも出演しているヨーロッパ企画の役者が結構出ていて、なるほどという感じ。あと見た当時もかなりインパクトがあったわりとうざい部員役がムロツヨシだったのは今回初めて知った。
もともとは戯曲として書かれていて、何度も舞台公演が行われているらしい。舞台版も見てみたいものだ。
とにかく傑作。青春SFコメディとして滅茶苦茶素晴らしい完成度である。

Posted in お気に入り, 映画

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