惑星ソラリス
「惑星ソラリス」 1972
ソ連の巨匠アンドレイ・タルコフスキー監督の手によるSF。原作はスタニスワフ・レムの「ソラリスの陽のもとに」。どちらも原題は単に「ソラリス」である。
謎の惑星ソラリスを探査中の宇宙ステーションに派遣された心理学者クリス。彼はそこで10年前に自殺した妻と出会う。それはソラリスの海が作りだしたコピーだった。
高校生のとき友人が見てはまっていた。その後なかなか見る機会もなく、46年の時を経てようやくブルーレイを買ったというわけだ。ストーリーのあらましは知っていたが、そのとき彼に聞いたのかその後何かで読んだのかは定かでない。
有名な話だが、未来都市の描写の中で東京の首都高を走るシーンがある。50年近く前の映像にもかかわらず、首都高から見える景色に大きな変化がなく、ある意味不思議な感覚だった。
SFではあるが、派手な特撮があるわけでもなく、大半は宇宙ステーション内のシーンで、非常に哲学的というか感覚的な映画だ。前回見た派手な特撮で押しまくる「スター・トレック」のようなSF映画とは真逆な物と言える。
映画としてはとてもよいが、原作の意図とは大分違っていたようで、原作者のレムは全く評価しなかったらしい。まぁSFとしての枠組みを使いながらもどちらかというと主人公の苦悩に主眼を置いた描き方をしているのでそれもしょうがない。
とてもゆったりとした映画だが、退屈はしない。それはやはりタルコフスキーの優れた演出が故であろう。
テーマ曲がバッハの「イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ」で、これはもう名曲中の名曲でまさに神曲である。
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