読書 2012/04
なかなか落ち着いて本を読む時間がとれなかったりするのだけれど、今月は電車に乗る機会が増えて読書がはかどった(^^;)
「鷺と雪」 北村 薫
ベッキーさんシリーズの3作目。直木賞受賞作である。
シリーズがこれで終わってしまうのは惜しい気がするが、そもそもこのシリーズが最終話のラストを描くためだけに存在してると思われるので、これ以上続けるのは無理があろう。
昭和初期という時代の描写は多分相当調べたのだろうなぁと感心するが、お話としてはわたしは、「円紫さんとわたし」シリーズの方が好きだ。
多分ミステリーとしての弱さからくる印象なのかな。
それと結局最後までベッキーさんという登場人物になじめなかったせいもある(^^;)
なんか人としての魅力が全く感じられないんだよね。立ち位置は円紫さんと同じようなところにあるのに、どうも存在がぼやけてはっきりしない。
小説としてうまいことは確かだけど、個人的にはさほど惹かれなかった。
「信長の戦争」 藤本正行
信長の行った桶狭間や長篠の戦い等の有名な合戦について、「信長公記」の描写を元にいわゆる通説とは違った解釈を提示する。
非常に面白い。
作者の方は歴史学者であるわけではないようだが、逆にその方がいろんなしがらみに縛られずにちゃんとした考察ができるのかもしれない。
別に奇をてらった説をとなえているわけではなく、「信長公記」という資料を素直に読んで解釈しているだけなので、説得力があるのだ。
それにしても、なんで今まで学者連中がこういうことをしてこなかったのかが不思議。
「月の裏側」 恩田 陸
この前読んだ「不連続の世界」という連作短編の主人公、塚崎多聞が出てくる長編。
順番としては、こっちの方が先に書かれている。
SFというかホラーというかファンタジーというか・・・いまひとつジャンル分けの難しいお話。
ある町で起こった失踪事件の真相を追ううちにとんでもないことに巻き込まれていくという、こう書くとミステリーっぽいんですけどね。
まぁ怖いわけでもなく、SFとしても平凡なアイディアだし、哲学的ということもないし、あまり売りになるような要素がない。
つまらないわけじゃないけど、手放しで面白いとも言えない。そんな作品。
「わくらば追慕抄」 朱川湊人
「わくらば日記」の続編。
前作もマンガっぽかったですが、展開がさらにマンガちっくになっていってるような気がする。
姉と同じ超能力を持ったライバルが出てきたり、姉の出生の秘密めいたことを匂わしたり・・・
小説としてはうまいし面白いですが、この先変な方向にいかないことだけを祈ってます。
そのうち映画化されたりしてね(^^;)
昭和30年代を美化した映画が他にもありましたしねぇ。
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