ヤミヤミ≒ヨマイヨマイ

このブログはわたしじゅんはじめが外界からの数多の刺激の中で妄想した事柄とか内なる衝動が生み出した邪なる創造の萌芽とかそういうなんだかよくわからないものを徒然なるままに日々雑記として書きつらねていこうと画策した上に設置されたものである・・・・・・・のかもしれないぞっと(^^ゞ

パンズ・ラビリンス

2月 22nd, 2022 by PureJyam

「パンズ・ラビリンス」 2006
パシフィック・リム」のギレルモ・デル・トロが監督。メキシコ・スペイン・アメリカの合作である。内戦が終わった直後のスペインが舞台なので、スペイン語の映画だ。
いやぁ、なんともすごい映画だった。そもそも冒頭のカットから既に不穏な空気を孕んでいて、ずっと緊張しながら見ていた。
スペイン内戦で父を失い、母がフランコ側の大尉と再婚することになって山の中の駐屯地に引き移ってきたオフェリアという少女。彼女はそこでパンという妖精に出会う。彼の話ではオフェリアはもともとは地底の王国の王女であり、3つの試練を乗り越えればそこに帰ることができると言う。彼女は一人その試練に立ち向かうのだが・・
こういう風に書くとまさにファンタジー映画である。しかし、見方によってはそのファンタジー部分は全て少女の妄想であったという解釈も成り立つのだ。少女は大人ばかりの駐屯地で孤独な存在であり、身重の母は体調がすぐれず臥せっている。そして新しい父は厳格で冷酷であり少女のことなど眼中にもない。そんな中本好きな少女が自分を慰めるために妄想を巡らしているという風にも取れるわけだ。
この映画は完全にその解釈を見る側に委ねている。ラストを不完全に描くことでその結末を観客に委ねるという映画は山ほどあるが、この映画ではきっちり描いていた上で、さらにどちらの解釈を取るのかを観客に迫る。ファンタジーな解釈を取ればハッピーエンド。現実的な解釈を取ればバッドエンド。まさに究極の選択である。
しかもファンタジーな要素を単なる妄想では片付けられないという解釈もありうるような風に描写しているのもうまい。とにかく感情を揺さぶられる映画だった。めちゃ泣いてしまった。
オフェリアは地下の王国で幸せになったと思いたい。

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