ヤミヤミ≒ヨマイヨマイ

このブログはわたしじゅんはじめが外界からの数多の刺激の中で妄想した事柄とか内なる衝動が生み出した邪なる創造の萌芽とかそういうなんだかよくわからないものを徒然なるままに日々雑記として書きつらねていこうと画策した上に設置されたものである・・・・・・・のかもしれないぞっと(^^ゞ

天国と地獄

11月 10th, 2023 by PureJyam

「天国と地獄」 1963
もはや解説するまでもないが、監督黒澤明、主演三船敏郎、仲代達也の誘拐サスペンスである。超有名作だが、実のところ黒澤監督の現代劇を見るのは初めてだ。
大手の靴製造会社の重役の息子が誘拐され、3000万円を要求される。しかしそれは人違いで、誘拐された子供は重役の運転手の息子だった。
あまりにも有名な作品なので、ある意味一番のポイントである身代金受け渡しのシーンなんかは多分テレビか何かで見たことがあって知っていたのが残念、そこは知らない方が面白く観れたよなぁと。
もっとも何と言っても黒澤作品なので、最初から最後まで目を離せないくらいに引き込まれる。前半は三船演じる重役の家の居間を舞台に密室劇のような展開。後半は仲代演じる警部たちが犯人を追い詰めていく捜査をリアルに描くという二極化した構成になっていて、その間を列車を使った身代金受け渡しのシーケンスが繋いでいる感じ。
多分普通の演出であれば、前半部分でも顔は写さなくとも犯人側の描写や警察内部の動きの描写を挟んでしまうと思うのだが、あえてそういうことはせず、顔のない卑劣な犯人と苦悩する被害者という構図を際立たせているのがすごい。
それと誘拐事件に対する警察の動き、被害者の家に変装して赴くとか電話の逆探知、身代金の番号の記録とかをこの当時にちゃんと描いているとこはさすがである。
ただ、やはり誘拐事件を扱っていることもあって、犯人の設定はかなり難しかったのだろうなという気はする。大前提として犯人が観客の同情を引いてしまうのはまずい。犯罪を犯すのもしょうがないよねみたいに取られてしまうのは避けたいだろうからね。ただそもそもタイトルである「天国と地獄」が「金持ちvs貧乏人」という暗喩を含んでいると言えなくもないので、それを生かしたまま被害者に同情を犯人に憎しみをという風にするために人物設定には頭を悩ましたのではなかろうかと勝手に推測している。まぁようするに脚本うまいよねということだ。

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