国際秘密警察 指令第8号

「国際秘密警察 指令第8号」 1963
監督杉江敏男、主演三橋達也、佐藤允のスパイアクション。
ヴェトナムのプラント建設の入札を目論んでいた日本の商社だが、死の商人ケント一味の暗躍で、入札が危ぶまれていた。
同じ頃、ケント一味を調査すべく国際秘密警察の北見は潜入捜査を試みるのだった。
タイトルから察せられるように、どう考えても「007は殺しの番号」の影響を受けていると思われるが、007の日本公開は今作の公開の3ヶ月前で、さすがに製作期間がなさすぎるので、恐らく前年の10月のイギリス公開後すぐに作り始めたのだろう。まぁそれにしても仕事が早い、さすが全盛期だっただけはある。杉江監督は若大将シリーズとか社長シリーズとかコメディ系からアクションやサスペンス物までこなすオールマイティな監督で、いかにも当時の職業監督という感じ。
スパイアクションといいつつ、主人公は国際秘密警察の捜査官ということなのでスパイは出てこない。あと007の方は当然ながらジェームズ・ボンドが主人公であり彼の視点でストーリーが描かれるのだが、今作の主人公である三橋達也は、国際秘密警察の捜査官として潜入捜査している関係で彼が活躍するのは後半になってからなのだ。どちらかというと、死の商人の暗躍に巻き込まれる商社の会社員である佐藤允の方がほぼ出ずっぱりなので、実のところ彼の方が主人公なのかもしれなくて、そうだとすると巻き込まれ型のサスペンスアクションなのかもしれない。
ストーリーはツッコミどころ満載で登場人物の不可解な行動が多く、いくらエンタメとはいえ荒唐無稽がすぎるという気がしないでもないが、一応本格的にスパイアクションをやろうとしている方向性は評価できる。
ただしこの時代だったから多少のチープさはなんとかなっている感じで、今007に対抗して似たようなスパイアクションをやろうとしても本家のスケールがアップしすぎていてとてもじゃないが邦画の予算ではどうにも太刀打ちできなさそうではある。
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