ダンケルク

「ダンケルク」 2017
2017年の9月に公開され、どういうわけか12月にはブルーレイが発売されていて、わたしは劇場で見たかったというのもあってすぐに購入していたにもかかわらず、7年以上も積んでいた。まぁこういうこともあるよね。
監督、脚本ともにクリストファー・ノーラン。主演はフィン・ホワイトヘッド。第二次世界大戦における英仏軍のダンケルク撤退戦を描く戦争映画である。
仏ダンケルクにおいて独軍に包囲された英仏軍はドーバー海峡を越え30万人の兵士の撤退を余儀なくされていた。そのため1000隻近い数の民間の船舶が駆り出されダンケルクへと向かうのだった。
戦争映画ではあるが、陸地での戦闘シーンはほぼなく敵であるドイツの兵隊は出てこない。戦闘は主に空軍の戦闘機での戦いで描かれるが、そこでもドイツのパイロットは出てこない。ここではドイツ軍は迫りくる恐怖の象徴として扱われている。
撤退作戦を指揮する側も描かれない。描かれるのはまさに撤退戦の中にいる人間たちだ。
陸、海、空の3つの視点があり、陸は敵に追われ命からがらダンケルクに辿り着いた二等兵。海は駆り出された民間船の親子、空は支援のためダンケルクに向かう空軍のパイロット。そのそれぞれの戦いを交互に描きつつ最後には全ての視点がクロスする。なかなか秀逸な脚本だと思う。
ノーラン監督自身も言及しているように戦争映画というよりは、敵が迫ってきている中脱出はできるのか?というサスペンス映画ではあるのだが、実際の撤退戦を元にしている以上戦争映画の分類になってしまうのはしょうがないところか。
ただまぁ史実としてのダンケルク撤退戦を元にしているとはいえやはり映画として脚色されているわけで、史実とは違うという批判もあったようだが、別に記録映画撮ってるわけじゃないのだからそりゃそーだろとしか言いようがない。
個人的には陸視点では台詞がほとんどなく、目まぐるしく変わる状況の中でとにかく生き延びようとする主人公のあがきを淡々と追っているのがとても好きなのだが、そこについてもドラマチックさやキャラ描写の欠如であるという意見もあったようだ。
IMAX上映を前提に撮られているせいか、海の広がりやコックピットから見る空の大きさ、そして海岸線に延々と続く兵士たちを捉えた絵がとてもよい。やはりこれは劇場でしかもIMAXで見なければいけない映画なのだろうな。
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