ヤミヤミ≒ヨマイヨマイ

このブログはわたしじゅんはじめが外界からの数多の刺激の中で妄想した事柄とか内なる衝動が生み出した邪なる創造の萌芽とかそういうなんだかよくわからないものを徒然なるままに日々雑記として書きつらねていこうと画策した上に設置されたものである・・・・・・・のかもしれないぞっと(^^ゞ

壁の中の秘事

9月 6th, 2025 by PureJyam

「壁の中の秘事」 1965
監督は若松孝二、出演は吉沢京夫、可能かづ子他。分類としてはピンク映画である。今作の脚本は後に映画監督としてデビューする曽根中生と出演もしている吉沢京夫でいつもの大和屋竺は関わっていないようだ。
団地に住む専業主婦のノブコはかつて共に平和運動をしていた元活動家のナガイと不倫していた。
以前見た若松監督の「処女ゲバゲバ」はピンク映画に擬態した前衛映画といった体だったが、今作も純粋にピンク映画というわけではなく、ピンク映画に擬態した反体制映画と見せかけた当時の意識高い系の人々への皮肉みたいな映画である。スターリンの肖像画の前での濡れ場とかもはや笑うしかない。
舞台となっているのは団地だが、当時の団地はおしゃれで先進的なイメージがあり、団地に住むというのはあこがれの的だったという話もある。しかし今作ではあまり肯定的には描かれず、狭く閉塞的で住んでいる人々を縛り付ける監獄のようなイメージだ。これは今現在の視点で見るとすごく納得できる視点なのだが、当時はどう受け取られたのだろう。
今作はベルリン国際映画祭に出品されたのだが、ピンク映画が他の格調高い邦画を差し置いて出品されたことで大騒ぎになったらしい。ピンク映画と言っても時代が時代なのでそれほど過激なシーンがあるわけではないし、閉塞感が生み出す歪みの果ての破滅みたいなストーリーは悪くない。
ただ、上映されたドイツでも非難轟々だったらしく、国辱とまで言われてしまい。若松監督はこのあと自身の製作プロダクションである「若松プロダクション」を立ち上げることになった。

Posted in 映画

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